認知症の方へのメガネ作り~家族の顔が良く見えるように
今日、高齢者の4人に1人は認知症・軽度認知障害であるとの統計が出ています。(認知症施策の総合的な推進について:厚生労働省より)
その中で眼科、在宅めがねでも認知症を患った方の眼鏡を作らせていただくことが多くなってきています。
ご家族の方々が利用者様に少しでも良く見えるように、食事、テレビ、写真、塗り絵、パズル、計算などなど、それぞれ見ていただきたいものは多くあると思いますが、一番は家族の顔が良く見えるようにとの思いを眼鏡に寄せることが多いように見受けられます。
では、眼鏡を作成するにあたって
- 「眼鏡を作成することが可能かどうか?」
- 「認知が難しいのに視力検査ができるのかどうか?」
- 「見える見えないが伝えられるのかどうか?」
不安がよぎり、疑問に思われるかと思います。
認知症の方にメガネは作れるのでしょうか?
「認知症でもメガネを作ることができますか?」と、よくご質問いただきます。私は、今まで300人以上、認知症の方の眼鏡を作らせていただきました。その中で感じていることとしては、認知症が原因で眼鏡を作ることが出来ないという状況は思っていたほど多くないということです。
これまで「認知症の方にメガネを作りたい」とご依頼いただいた中で、
眼鏡を作成されなかった理由としては、
- 眼鏡を必要と感じない-視力検査ができても、持っている眼鏡と変わらないので新しい眼鏡を作る必要を感じられなかった
- 必要かどうか判断がつかない-良く見えるかどうかの認知が不可能でした
この割合自体は、認知症であるかどうかによって、大きく変わりません。「認知症だから、見えているかどうか自覚できないのでは。」と心配があると思いますが、お気軽にお声がけください。
認知症の方の眼鏡作成、検査について
ランドルト環の検査で、認知症の方の「答え方」も含めて観察いたします
視力検査はランドルト環(丸に切れ目がある指標)を使用します。認知症の方でも、この検査で分かれば返答いただけることが多くあります。また、しっかりとした答えでなくても、長年の検査経験から、その方の「答え方」によって度数を探っていくことができます。
眼鏡で認知症の進行リスクを低減
どれくらいの距離で何を見たいかによって、度数、レンズを選択していきます。実際のところ、写真を見ることや、塗り絵や食事も「眼鏡を使わないとぼやけて見える」方々が裸眼で過ごしている現状があります。検査をしてみて初めて分かることも多いのが実情です。
視力が悪くなると認知症のリスクが高まると言われています。人間は眼から80%の情報を得ていますので、「見えづらい」ということは、視界がぼやけ、その情報を認知し難くなってしまうこと。手元が見づらくなり、新聞、本を読まなくなり、活字から離れていってしまう…それらが認知症を進行させてしまうことと関連する可能性があります。
「見える」ことは、「視界がクリアに見える」というだけではなく、見えることで感じられる喜びが多くあります。例えば食事。見えれば、食事が美味しく感じられます。「見える見えない」だけでなく健康という面を鑑みても、眼鏡はもう少し貢献できると考えております。
「在宅めがね」は、視力検査、眼鏡の度数合わせ、メガネフレーム選びまでご自宅でめがねの作成ができる出張サービスです。「生活で使うメガネは生活の中で作る」人に寄り添うメガネ作りをご提供いたします。